16 5月, 2011

原発をめぐる考察

〜先輩からのメール vol.1 〜

私のブログを読んでくれた高校時代の先輩がメールをくれました。
以前、大手企業のヨーロッパ支店長をしていた方なので、私たちの耳にはあまり
入ってこないようなこともご存知らしく、私のつたない原発に関する意見を補足
してくれるような情報を寄せてくれましたので何回かに分けてご紹介します。
原発反対→自然エネルギーへ、という議論に対して、「自然エネルギーは高く
つく装置であり、安全(原発削減or廃止)を手に入れる代わりに国民は
犠牲(電気料が高くなるってこと)を受け入れねばならない」ということと、
政治家や電力会社がなぜ原発にこだわってきたか、ということを書いてくれました。
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電力会社がなぜ40年ほど前から原子力にこだわってきたかというと、最大の理由は「儲かるか
ら」です。儲からないのならそもそもとして増やすはずがないです。それまでの水力・火力に
くらべて電力会社としては安いコストで生産できるから。そしてそれを水力・火力時代ともし
ほぼ同じ値段で消費者に売ればウハウハになるからです。そこに眼をつけたのが政治家だった
わけです。

ところで、日本では電力会社以外にも電力を自分で生産している企業がたくさんあります。
自家発電というやつで、たとえば製鉄会社、製紙会社などです。かれらは、万が一のことが
あったりした場合(例えば今回のように)、電力会社に頼らず自分のところでまかなうよう
体制を整えてきました。ただ、主に広い土地を持っている素材(我々の業界ではそのように
呼びます)生産の会社であって、それらを組み合わせて最終的に電気製品や車や機械を作る
いわゆる製造業的な会社はそういう設備はあまり持っていません。

ちなみに東京電力の夏のピーク需要6000万KWに対して事故直後は東京電力の供給量は
4500万、今でも5500万で、まだ足りないという報道がされていますが、企業の自家発電は
日本全体で1500万の能力があります。これはマスコミではあまり報道されていませんので
知らない人が多いと思いますが(これも、電力会社の独占に風穴を開けることを嫌う官・
政治家・電力会社が意図的にあまり世の中に知らしめないようにしているという指摘もあり
ます)。従来はその半分しか稼動させていないので、今回残りの半分を稼動させ、東京電力
に売ることで夏の停電をできるだけ防ごうとする動きがあります。いいことです。
ただ、その企業群でさえ、今まで、それから今後当分の間も主に火力であり、太陽光で発電
する企業はあまり聞いたことがありません。彼らは政治家も電力会社も関係なく、純粋に
コスト計算してやるはずですので、ここから見ても太陽光はまだ高いと考えられている
のがわかります。ただ数字を正確に知りたいというのは僕も思っていますが。