04 6月, 2012

形見の品で

友人から、彼女のお父様の形見のタイピンやカフスボタンなどの石をアクセサリーに作り替えてほしい、という依頼をいただきました。

オレンジ色がかって見えるのはタイガーアイ。これはカフスボタン(正式名称カフリンクス/これはスウィヴル式)の金属の台座にしっかり固定されていて石をはずすことができず、台座に垂直についている(正式名称パッキングと呼ばれる)部分ははずれました。が、それだけだと男性ものだけあってきついイメージだったので、金属の台座の穴にワイヤーを通して、太陽のようなイメージをもたせてみました。ビザンチンチェーンで革ひもにつないでチョーカーに。

緑色のものもカフスボタンだったもので、縁起物のアワビの形で2センチくらいのものですが、本物のアワビを樹脂でコーティングしてあります。台座からはずして裏側を見たら、内側が七色に光っていたので本物のアワビの貝だとわかりました。それは娘である彼女も知らず、驚いてました。このミニミニあわびちゃんは、彼女の希望でひとつはネックレスに、もうひとつはストラップに。ネックレスはお母様用とのことで、ご希望に沿ってチェーンをつけただけでシンプルにしましたが、アジャスター(長さ調節のチェーン)の先にアワビの貝でできたビーズをあしらいました。

白っぽいのは、ネクタイピンだったもの。きれいなムーンストーンがはまってます。台座の爪で留まってるだけなので、石だけはずすこともできるけれど、あえて台座を利用してそれにワイヤーをからめながらアクアマリンやムーンストーンの小さい石を点在させてみました。これはまだ制作途中で、ブローチになる予定ですが、ペンダントヘッドにもなるようにチェーンを通す部分をワイヤーで作ってあります。


また、今日は府中アートマンに石の帯留めをお持ちくださった年配の女性が、「母の形見で、父が中国に行ったときに買ってきたものらしいのです。」とおっしゃって、それをブローチにしてほしいというご依頼でした。私は、火を使う彫金などはまだ扱ってないので(いずれやってみたい…)、帯留めの金具にワイヤーでブローチの金具を取り付けました。簡単な加工でしたが、喜んでくださいました。


親しい人の形見だったものが、新しい形になって受け継がれていくお手伝いができるのは、普段の制作とはまた違った喜びがあります。
形見の品はただしまっておくよりも、使った方が故人を身近に感じられます。それを使うひとのお守りにもなるような気がします。

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私は今のところ彫金細工は扱ってないので、ワイヤーや既製の金具や接着剤を使った加工でできる範囲のリメイクを扱っています。ご予算に応じて、制作させていただきます。