04 5月, 2013

母を連れて「ルーベンス展」

朝、父が「お母さんば何処か連れてってやれ」と言った。
父は「体調いまいちやけん留守番する」と言ったが、たまには一人でのんびりしたい、というのが本音だろう。
母を連れてどこかに遠出するのはひと仕事。正直言うと、ほとんど歩けない母を一人で連れて出かけるのはなるべく避けたい。私よりも体重が重く、何かあったとき対処しずらいから。だから、こちらからは母に出かけようと誘いはかけない。しかし、ゴールデンウィークで娘二人もいるのに、”どこも行かんと?”という無言のプレッシャー(一回だけ口にした)を母はかけてくる。父は敏感にそれを察知し(私たちも察知していたが無視していた。親不孝は自覚しとりま。)、私たちに命令した、というわけ。

結局、妹と私とで母を連れて北九州市立美術館へ行った。
案の定、美術館に到着早々、母はおむつの中にウンチしてしまい、親子3人障害者用トイレに入り込み、20分以上悪戦苦闘。外出時の母の介助は二人必要だと改めて実感。

美術館ではルーベンス展をやっていた。有名画家で、しかも西日本では北九州だけの開催ということもあり、連日盛況のようだ。チケット売り場の長い列に並んで、「高齢者割引き、あるとやろか?」なんて妹と話していたら、すぐ後ろに居た女性が「これ、どうぞ」と言って招待券を一枚くださった。お金云々ではなく、”いいこと”もあるんだな、と単純に嬉しかった。

ルーベンスは宮廷画家として活躍し、外交官でもあった。壁には重厚で上品な肖像画が並ぶ。黒が美しい。
最近、「◯◯◯とその時代の画家たち」みたいな、目玉商品は数点でその他大勢は知らない画家たち、という精神的に軽い詐欺にかかったような展覧会が増えてきたが、ルーベンス展はちゃんとルーベンスの作品がたくさん並んでいた。ただし、ルーベンスは大きな工房を持って何人もの弟子を抱えて仕事をしていたので、ルーベンスも関わったかもしれないけど、弟子の名前で展示してある作品もあった。
版画も油絵以上にたくさん展示してあったが、版画はルーベンスだけでなく、多くの画家が版画専門の職人に下絵を写させてつくられている。現代でも版画作家でない限り、例えば平山郁夫など日本画家や油絵のほとんどの画家の版画は、版画専門職人がつくっている。

母も、ルーベンスの版画コーナーでは興味なさげだったので、さっさと車いすを押して、北九州市美術館収蔵のコレクション展コーナーへ移動。こちらの方が意外とよかった。私の好きなホックニーの版画がたくさんあったから。他にも、ルオーピカソなどの版画があり、楽しかった。

帰りの車中で私は頭痛。妹は、行きも帰りも運転で疲れたろう。ご苦労様〜。

ルーベンス展は6月16日まで。
5月18日(土)は、バロック音楽会(無料)もあります。

ルーベンス展オフィシャルサイト:http://rubens-kitakyushu.jp/
北九州市立美術館ホームページ:http://www.kmma.jp/