18 5月, 2013

15年ぶりに陶房へ

手前のペンダントヘッド5個とウォーマー(アロマ
キャンドルを中に入れ、マグカップやポットが冷め
ないように温めるのに使う。写真は乾燥中のため
さに置いてある)を制作。奥は友人作のスプーンや
小壷。これから素焼き→釉薬かけ→本焼き、という
行程を経る。
15年(いや、もしかしたらもっと?)ぶりに、東京都西多摩郡の日の出陶房へ。
友人が3月末に愛猫を亡くしたばかりなのですが、「お寺から持ち帰った猫の骨壺が白くて冷たい感じで、なんか親しみがわかない」と言うので、「じゃあ、猫の骨壺作りに行ってみない?」と誘ったのです。

初めてここを利用する人には、手びねりの基礎を湯呑茶碗で教えてくれます。私は15年ぶりの作陶でうろ覚えだったので、私も友人と一緒に教えてもらいました。高台(こうだい)の作り方などすっかり忘れていました。基礎をひと通り教えてもらったら、後は作りたい物を自由に作ります。わからないことがあれば、その都度、陶芸家として活躍されている3人の講師のうちの誰かに教えを乞うのです。

料金は体験コースなら一回2000円。チケット制(回数に関係なく消費期限は半年)は3回からで、一回につき1500円。朝10時から夕方5時くらいまでの間、好きな時間利用できます。2時間でも7時間でも同じ料金です。ロクロを使う人は、プラス1000円。粘土で作った物を焼いてもらうには、別途に焼成費を払います。焼成費は物の大きさで違います。湯呑み茶碗でだいたい500円くらいだそうです。

施設を見下ろすように建つ、通称「武家
屋敷」の縁側でお弁当タイム。明治時代に
料亭として建てられた。陶房利用者も
泊まれる(有料)。自炊です。
この陶房は「日の出太陽の家」という知的障害者のためのグループホームの設備の一つです。その陶房を一般にも開放して、入所者と外部の一般人が社会交流できるようになっています。陶房に通っている利用者の顔ぶれは、15年の間にすっかり変わってしまいましたが、陶房のたたずまいは変わっていませんでした。

陶房入り口に並ぶ、講師黒田さん
の作品。ステキです。今度、
マネして作ってみようかな。







午前中は太陽の家の入所者が作陶する時間のようで、作陶を得意とする数人が作業しているのですが、その中に15年前にも作陶していたKさんの顔を見つけて懐かしくなりました。今日は、いくつもの皿に蟹の絵を描いていて、とてもカッコイイ蟹でしたので、あとで施設内でたまたま見かけたときに「お皿の蟹、かっこよかったですね。」と言ったら、「そう?カッコよかった?ありがとう。カッコよかった?」と、嬉しそうでした。

友人は一日体験で帰るつもりが、自然に囲まれた陶房での一日を満喫して、しっかり3回チケット買って帰りました。

陶房詳細:http://www.taiyonoie.org/npo/toubou/toubou.htm
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太陽の家の創設者でもある初代理事長•中島正清氏は、関西で会社を経営していた方ですが、50歳で会社経営から身を引き、家族で東京の奥多摩に近い日の出町の山あいに移り住み、私財を投じてこの施設をつくられました。建設前には周辺住民からの建設反対運動が6年間(!)もあり、その時全国からボランティアが来て周辺住民の説得に当たったそうですが、その中にオウム事件で犠牲になった坂本堤弁護士夫妻も居たそうです。創設からの26年間もいろんなご苦労があったようですが、そんな苦労を感じさせないなごやかな気持ちのいい場所で、初代理事長のお人柄が反映していると感じます。数年前に亡くなったそうですが、初代理事長のとても穏やかな優しい笑顔を今もはっきりと憶えています。15年前は陶房を取り仕切っていた娘さんが、現在、理事長の仕事を受け継いで、施設全体の事務方として頑張っていらっしゃいます。