10 2月, 2013

映画「やわらかい手」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

今は夫もなく、病気の孫の心配をしている一人暮らしの女性マギー。
孫の手術費用を工面するために奔走するが、うまくいかない。どうしたものかと町をさまようマギーの目にとまったホステス募集の貼り紙。
フツーの家庭の主婦としてつましく生きてきたマギーは意を決して店に入り、オーナーの面接を受ける。しかし、そこで求められていた仕事は酒の相手ではなく、腰の高さにたった一つ穴のあいた壁越しに、男を手でイカせる仕事だった…。
仕事の内容を知ってビックリ仰天のマギーだったが、他に高額の手術費用を工面できるアテもなく、仕方なくホステス(?)の仕事を始める。
ところがどっこい、マギーのやわらかい手のひらは男達にとって”神の手”にも等しく、イリーナという源氏名をもらった彼女が担当する壁の前には長蛇の列ができるほどの人気となるのだが…。

とにかく、フフッと笑えてホロリとする良質のハートウォーミングな作品。男達を迎え入れる壁の内側で、マジメに仕事に向き合うエプロン姿のマギーが愛らしい。

主役のマリアンヌ・フェイスフルは60年代に一世を風靡した歌手兼女優さんだが、そんなこと知らない今の私たちにとってはフツーのおばちゃんにしか見えないし、他に有名俳優が出てるわけじゃないけれど、いつのまにか物語に引き込まれてしまう。
イギリス映画って、こういうちょっと変化球的な映画作るのがウマいよな〜。
オーバリー絶賛の一品。ツタヤアマゾンにもあります。

マリアンヌ・フェイスフルは人気絶頂のときミック・ジャガーの恋人としても有名だったが、流産・麻薬などのスキャンダルのために人気絶頂から奈落の底へ落ちるような人生を歩んだひと。彼女自身が重ねた人生の悲喜こもごもが自然な表情にも現れて、彼女以外にはたとえ名女優でも演じ得ないほどのハマリ役となっている。
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動画は、日本語の予告編が見あたらなかったので、オリジナル予告編です。