23 2月, 2013

映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

本棚を整理していたら、懐かしい映画のパンフレットが出てきた。
タイトルは「地雷を踏んだらサヨウナラ」。

右が一ノ瀬泰造、左が泰造を演じた浅野忠信。
どっちもイイお顔。
これは、カンボジア内戦を取材中に亡くなった報道カメラマン・一ノ瀬泰造の実話に基づいた映画。
映画に感動してパンフレット買うと、だいたいが値段の割にそのスカスカな内容にガッカリさせられることが多いので、ロードショウを見てもほとんど買わないのだが、このパンフレットは密度が濃い。半分は一ノ瀬泰造の写真集かと思うくらい写真がたくさんあって、文章は文字も小さい。主演した浅野忠信を始め、不肖、宮嶋カメラマンまで、寄稿人の充実ぶり。映画関係者の思い入れが相当あったんだろう。パンフレットの最後のページには、一ノ瀬泰造のご両親の文も寄せられており、”…浅野さんに初めてお会いしたときのこと、浅野さんの背中に小さく「タイゾー」と呼んでみました。するとごく自然に「はーい」とにこやかな笑顔が私を振り返りました。…”という一文には、ちょっとジーンときた。


現在世界遺産となっているアンコールワットのエリアはカンボジア内戦当時、政府軍に敵対するクメール・ルージュ(一般市民を大量虐殺した)に支配されていて、ジャーナリストはなかなか入り込めない場所であり、そこに一番乗りするのが一ノ瀬泰造の夢だったのだ。アンコールワットに憧れて、飛び込んで、26才で消息を絶った青年の物語だ。
クメール・ルージュに捕らえられ、処刑されていたことが後にわかったが、泰造は憧れたアンコール・ワットをその目で真近に見ることができただろうか。カメラで捉えることができただろうか。

劇中、アンコールワットの門前町シュリムアップに滞在中、現地の人たちと心通わす日常や、ベトナム滞在中に恋心を寄せる女性の存在など、心なごむひとときが微笑ましい。
そして、危険を省みず夢を追う姿はまぶしい。危険だとか安全だとか、そんな勘定、アタマになくて追いかけるのが”夢”なのかもしれない。

ちなみに、タイトルの「地雷を踏んだらサヨウナラ」は、泰造が友人に書き残した最後の手紙の一文”……旨く撮れたら、東京まで持っていきます。もし、うまく地雷を踏んだら、サヨウナラ!”から、きている。

予告編:http://www.youtube.com/watch?v=TbWg27UKIcs
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「地雷を踏んだらサヨウナラ」をプロデュースした奥山氏は、ドキュメンタリー映画「TAIZO」も製作している。見てみたい…。
オフィシャルサイト→ http://www.teamokuyama.com/taizo/index.html