18 12月, 2015

墓場まで持っていく話

10日ほど前のこと、親しくなったアクセサリーのお客様2人と私との3人で立ち話をしていたとき、どういう話の流れだったか、人には恥ずかしくてとても言えない”墓場まで持っていく話”があるか、という話になった。
3人とも「あるよ~、あるある。」と、意見の一致をみた。
Aさんが「オーバリー、それどんな話?」と言うので、「それ、ここで話したら、墓場まで持っていく話にならないじゃん。」と言うと、Aさんが今度はBさんに「どんな話?」と話を振ったら、Bさんが「私さあ~…。」と、意外にすんなり話し始めた。

墓場まで持っていきたいくらい恥ずかしいだけあって、聞いてる方は笑える。
Bさんが話し終えると、今度はBさんがAさんに「どんな話?」とバトンを渡すように言った。
そしてAさんも抵抗なく話始めた。
Aさんの話はBさんよりもさらに爆笑度が高く、話してる本人さえも一緒に笑っていた。

Bさん、Aさんときたら、私だけ話さないわけにはいかなくなった。
それに、BさんとAさんの話を聞いていたら、自分のも彼女たちと同じ程度で、ここでひた隠しにするほどでもないか、と思えた。
私が話し終えると、Aさんに「私ほど墓場に持っていく感じじゃないじゃん。」と、言われ、そうか~、人によって受け取り方は違うのね、と思った。

で、安心した私は、今度は笑いをとってやろうと思い、「人には言えるけど割りと恥ずかしい話、他にもあるよ。」と前置きして、別の話をした。

もう15年以上前のある日のこと。その頃、カゼをひいてしょっちゅう鼻をかんでいたせいか、強く鼻をかむと鼻血が出やすい時期があったのだが、その日は、ちょっと全身に力を入れなくてはいけないことがあって、グッと力んだ瞬間、また鼻血が出たのだ。しかも両穴から…。
あれれ~、と思いながら、いつものように鼻の両穴に丸めたティシュを詰め込んだ。

そのとき、「オオバさ~ん、宅急便でーす!」と玄関のドア越しに声が聞こえた。
そのひと声で、私はまるで催眠術にでもかかったかのように、ティッシュを鼻に詰めていることなど一瞬にして忘れてしまったのだ。
私は「は~い!」と元気よく返事して、元気よくドアを開けたのだが、いつもはおじさんが来るのに、その日に限って若い男性がしかも二人組みで来ていたのだ。
おっ、しかも一人はイケメンだ、と心の中で思いながら、伝票にサインをした。
そのときも、まだティッシュのことなど忘れたままだ。

荷物を部屋に運びいれ、ホッと一息入れたとき、壁に立てかけた姿見に映った自分が見えた。
そこには鼻から2つのティッシュの固まりがのぞいている自分がいた…。

一瞬にして催眠術が解け、そこからは頭をかきむしりたくなるほどの自己嫌悪タイムが始まったことは言うまでもない。

という話をしたら、AさんもBさんも大笑いしていたが、Aさんが「さっきの話より、それの方が墓場に持っていきたい話じゃん!」と言った。

え?そうなの?これ、何度となくひとに話してきたことだけど~、そんなに恥ずかしかった?


と言うワケで、今これを読んでいる皆さんは、ご自分の墓場まで持っていきたい話を、頭に思い浮かべていることでしょう…。でしょ?