24 11月, 2015

NHKドラマ「七つの会議」

2013年の8月の半ばに、この記事を下書きしたまま忘れていた。
当時カネボウの化粧品の問題がニュースになり、同時期に放映されたテレビドラマに感動して書いたものだ。
企業(仕事)のあり方について考えさせられる事件は、この記事を書いたあとも起きていて、つい最近は、マンションの杭打ちの問題がニュース番組をにぎわした。
旭化成建材の杭打ちの偽装は360件になったという。
いったいどうするんだろう…。
そして旭化成建材だけなのか…。
  
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「七つの会議」

部品などの欠陥・不備による車をはじめ、安全性を無視した商品のリコール報道はときたま聞く。
新しいところではカネボウの化粧品。
ドラマ「七つの会議」の舞台は、ネジのメーカー・東京建電。ドラマの最初から、この会社名を聞くたびに、「東京電力」が反射的に思い浮かんでしょうがなかった。

車や飛行機や建物などの製造物から比べれば、ネジは小さな小さな部品だが、ネジがなくては何も作れない。(そう、電気についても電気なしには何も作れない、製造業にとっては必須の材料だね。)
そのネジの強度不足が発覚し、東京建電倒産の危機に陥る。ネジの強度が不足していたら、どうなるか。
飛行機、列車、自動車、建物などが、衝撃に耐えられず、人命にかかわる事故が起きる。(原発も地震や津波の衝撃に耐えられず、放射能漏れたら、人命にかかわるねー。似てる、似てる、と思いながら見てしまう。)

一個人の営業がノルマ達成のために仕掛けたことを発端としたと思われた、人命に関わる自社内の故意の不正を、会社のトップが知った時どうするのか…。(東電も原発のメルトダウンを知ったとき、東電トップは何と言うたんでしょうねー?)

東京建電の社長はひとこと「隠蔽せよ。」
そして、問題のネジの受注に関わった営業社員はスケープゴートにされ、主人公・原島(東紀之、好演です)は、不正の隠蔽工作を命じられるが、まだ知らされていない不正の真実を秘密裏にさぐり始める。

原発問題に関わる発言の中でよく聞かれる原発温存派の言葉、「原発に関わる社員たちとその家族をどうするのか?原発止めて、路頭に迷わせるのか?」と同じような意味の言葉を劇中、東京建電の社長も言う。

不正を隠蔽することが、社員を守ることになるのか?
真犯人ではない一人の社員を犠牲にすることでしか会社は生き残れないのか?
何よりも、もしネジ一本で多くの人命が奪われたら?
原島は悩み苦しむ。そしてひとつの結論に達する。
隠蔽工作が成功したら、この会社はまた同じことを繰り返す。と。
だって、それが初めての不正事件ではなかったから…。(電力会社もねー、繰り返してるよねー、放射能漏れねー。)

原島は強度不足のネジを作った子会社の社長に問う。
「どんな気持ちでネジを作ってるんですか?」と。
私も自分に問うてみたい。「どんな気持ちでアクセサリーを作っているのか?どんな気持ちでイラストを描くのか?」と。たぶん、そこにその仕事をする人間の全てが投影される。

会社という組織の恐ろしい力の一端と、また一方で個人の勇気がもたらす希望の両方をドラマの中に見た。日本の電力会社のどこかに原島君はいないだろうか…。

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旭化成建材に、原島君はいただろうか…?