13 11月, 2015

石のおじさん

アクセサリーのお客様から、「大きな水晶のペンダントを作っておいてもらえますか?」と、前々から頼まれていたこともあり、そんな水晶を探しにミネラルショーへ。

目的の水晶を手に入れた後、他になにかないか物色してまわることに。
写真で茶色に見えるのが、初めて買ったオーストラリア産ボルダーオパールの原石。さまざまな色が妖しく光るのが魅力の石。研磨されて綺麗なものは高いので、原石を買って自分で磨いてみることにした。


最後に会場の端で、商売っ気なく石の陳列棚の後ろに座ってるオジサンのブースに立ち寄った。他のブースの石より安めの原石が並んでる。アクアマリンの可愛い原石を見ると、なんと産地・佐賀県と書いてあるじゃないですか。しかも安い。佐賀県でアクアマリンが採れるのかー、と感動。
話しをしてみると、石の業者さんじゃなくて、個人のコレクターさん。もらった名刺には、某通信会社の子会社の支店の課長代理と書いてある。初めての出店で、集めた石のコレクションを売りにきたのだそう。

定年も近そうなお年まわりからして、会社の出世街道には目もくれず、サラリーマンのかたわら石のコレクションに情熱を注いできたんだんだろうなあ、といういかにも石フェチな風貌。
会社側からすれば浮いた存在でしょうが、私からすれば、親戚に居たらオモシロいだろうなあと思える石のオジサン。竹中直人が主演した石の映画「無能の人」を、ちょいと思い出した。

私が買った緑鉛鉱という若葉色した石の、産地を書いた紙がないことを私は気にしてないのに、オジサンはひとりで気にして「皆さんあまり気にしないけど、石はね、産地が重要なんですよ〜」とおっしゃる。後で調べてメールしてくれることとなった。
その石でペンダントを作ると言ったら、「いやあ、この石はこうやって眺めて楽しむ石ですよ~」と、石を目の前に掲げ持ちながら、やんわりと抵抗を見せるあたりが商売人らしくなくて好ましい。

オジサンには悪いけど、作っちゃうよ、ペンダント。