31 7月, 2012

柔道

オーバリーが好きなオリンピック競技のひとつが柔道。
うちはなぜかテレビの地上波が写らないので、オリンピック期間中だけNHKオンデマンド(月額945円)をPCで見ることにした。
どの競技も同じかもしれないけど、こと柔道に関しては、お家芸の面目というプレッシャーもプラスして、銀メダルでは喜びの表情を出さない(出せない?)日本選手が印象的。誰かが勝てば一方は負けるんだし、全部「金」てわけにはいかないのは誰でもわかっているし、お家芸というだけで”金メダル以外意味がない”なんてことないのにね…。

お家芸、ってどのくらい日本独自だったのかというと、思ったより歴史は新しく、明治15年(1882年)に嘉納治五郎氏が指導を始めたのが、柔道の歴史の始まりだそうだ。
http://www.empireguild.info/

オリンピック正式種目(男子のみ)になったのが1964年の東京オリンピックなので、柔道が日本で生まれてオリンピックに登場するまで約80年。オリンピックに登場してそろそろ50年になろうとしてるから、あと50年もすればお家芸とも言えなくなるかもしれない。
日本だって、外国のお家芸(アーチェリーとかフェンシングとか)のメダルをとる時代になってきた。だから柔道の選手たちにも、銀でも銅でも思い切って喜んで欲しい。
柔道も大相撲みたいに敢闘賞とか技能賞とかつくってくれたらいいのにねー。
ただ、日本選手がお家芸としての誇りを持つことでいいと思う点は、試合のマナーや試合する姿の”美しさ”。
日本の男子が決勝戦で負けて銀をとった試合で、優勝した東欧の選手が、仰向けになって悲しんでる日本選手の胴体をまたぐように立っていつまでも仁王立ちになって勝ちをアピールしていたのには、かなり辟易した。
それ以外にも、外国選手には試合中反則ぎりぎりの見苦しい態度(見た目がキタナイ)が目についたりする。ただ外国選手にも日本人のように潔くてマナーのいい若い選手もいたので、そんな彼らと日本人をこれからも応援していこうと思う。

30 7月, 2012

ドラマ「SHERLOCK」

〜イギリス特集vol.2〜

一度見てストーリーもわかっているのに、何度見でも飽きないテレビドラマシリーズがいくつかある。その中でも、ジェレミー・ブレットが長年演じた「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズは、オーバリーお気に入りのドラマのひとつだった。ジェレミー・ブレットが61才で亡くなったので、それ以降は違う俳優で時々ドラマや映画が製作されるけど、ジェレミー・ブレット版があまりにも完璧なホームズのイメージだったために、彼亡き後誰が演じても見る気がしなかった。

が、一昨年新しく製作された現代版シャーロック・ホームズの登場で、やっと新しいホームズのドラマが楽しめることとなった。

現代のホームズは、明晰な頭脳に加えてPCやスマートフォンを駆使して、ワトソンと共に犯罪の謎解きをしていく。映像もスタイリッシュでクールな仕上がりになっている。
何より、ホームズとワトソンを演じる俳優の、個性の相性がとてもいい。現代のワトソンも軍医で、アフガニスタンで負傷して少ない年金で暮らしており、負傷したときの精神的トラウマに悩まされている、という設定。ワトソンに関しては、歴代のワトソンの中でも一番好きかも。
ホームズを演じるベネディクト・カンバーバッチは今まで見た映画やドラマの中では、だいたいが繊細で優しい性格の人物を演じていたので、今回のホームズ役では彼の新境地を見た気がして、それも楽しい。
各エピソードは、以前の「シャーロック・ホームズの冒険」のエピソードからエッセンスを取り出して現代的に作り替えてあるので、「〜冒険」の時のファンにとっては、どのエピソードを使ったのか当てっこする楽しみもある。「〜冒険」のときの複数のエピソードを「SHERLOCK」の一話に盛り込んであったりもする。
また、「〜冒険」の時には、登場回数の少なかったシャーロックの兄マイクロフトが「SHERLOCK」では毎回登場していて、その皮肉のきいた兄弟のやりとりがけっこう面白い。

劇中、実際の街中を走り回る映像も出てくるので、現代のロンドンの街の雰囲気も楽しめる。見ていて驚いたのが、スーパーで買物するワトソンが商品バーコードを自分でスキャンしているシーン。ロンドンにはセルフでお会計するスーパーがあるの?びっくり〜。

伝統と最先端がバランスよく同居しているロンドン。行きたいなー、ロンドン。また旅の虫が疼きます…。
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現在、NHKBSでシーズン2を放映中。https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2012040562SC000/
ツタヤにもあります。http://www.tsutaya.co.jp/works/10318562.html

29 7月, 2012

映画「炎のランナー」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

言わずと知れたロンドンオリンピックにちなんで、イギリス特集vol.1。

昨日の開会式にも流れた、この映画の中の砂浜でランニングするシーンが大好きで、同級生とあの映像をマネて「チャチャチャチャ……タ〜ララ〜ララ〜ラ〜…」と歌いながらスローモーションで走って、炎のランナーごっこしていた学生時代を思い出した。
ロードショーでも見て、名画座でも何回か見たなー。



劇中のいくつかのエピソードの中でも”キリスト教徒は日曜日に走っちゃいけないの〜?”という日本人にとっては新鮮な驚きのエピソードもあったりして、宗教(人種)問題にぶつかりながらも栄光を勝ち取っていく青年達の姿と、イギリスの独特の空気感にあこがれたもんです。

26 7月, 2012

豊橋で途中下車

先週末、また実家に帰っていて、実家の唐津から、数ヶ月ぶりの青春18切符で帰京の旅。
2週間の間に東京−唐津を2往復は生まれて初めてかも。
今回の帰京の途中、岡山の友人宅に3泊した後、本日18切符旅後半戦。岡山駅から東京・国立駅まで8回乗り換え、約14時間。途中下車しなければ、12時間半で着いたのだけれど、友人が「豊橋の喫茶フォルムで休憩したらいいよ。」と勧めてくれたので、豊橋は乗り換え駅でもあり、立ち寄ってみた。

愛知県・豊橋駅から7〜8分ほど歩いた商店街の中にある喫茶店フォルム。
窓辺に置かれた白い彫刻が名前の由来かな?
ここは画廊喫茶のようで、今は趣味のグループなのか、油彩水彩といろんなタッチの絵が並ぶグループ展が行なわれていた。
内装はとりたててどこがステキということではなく、特徴といえば、今では珍しくない打ちっぱなしのコンクリートの壁だろうか。絵が引き立つ黒っぽい、いい色。床には最近では珍しい、明るいグレーのカーペットが敷かれていて、全体的にシックな調和を見せている。喫茶店としては、どこか普遍的とでもいいましょうか、妙に落ち着く。
気にならない程度の音量でクラッシック音楽が流れていて、でも気にして聴けばちゃんと聞こえる絶妙な音量調節。
ひとりで、読みかけの本か新聞を読みにくるのにピッタリな喫茶店。

席に着くと、ノリのきいた白いウェイター服に黒い蝶ネクタイのいでたちが粋な70前後のマスターが水を持って近づいてきて「いらっしゃいませ。何になさいます?」と声かけられる。テーブルにメニューはなく、マスターもメニューは手にしてなかったので、「何がありますか?」とちょっとマヌケな質問をした後、「アイスカフェオレを」とお願いした。常連客が多いのか、入ってくる客はそれぞれにコーヒーとか、中にはトマトジュースと言う人もいた。客の顔を見ただけで、注文も聞かず、コーヒーを出されてる年配の男性客もいる。注文の品をテーブルに運び終わったマスターは、「どう?調子は。」と言いながら、常連客のそばに腰を下ろして、世間話を始める。ゆったりとした午後の時間が流れた。カフェオレは美味しかった。400円。
勧めてくれた友人は30年も前に通っていたそうで、思い出の場所らしい。そうね、確かに”思い出”という文字が似合いそう…。

今回も、長い乗車時間の間に読むつもりだったダン・ブラウンの「ダビンチコード」を持参するのを忘れたので、商店街の本屋に入って同じ著者の「天使と悪魔」(上巻)を買って、駅に急いだ。

豊橋に降り立つことが再びあるかどうかわからねど、また機会があったら、フォルムでお茶したい。
住所:豊橋市松葉町2-20

24 7月, 2012

夏休み

夕べ遅くに岡山の友人宅に着いたら、先客がいた。
友人SちゃんのダンナTさんの甥っ子、ダニー(8才)。
父親はイギリス人。ダニーは自分でも「ボク、ハーフだよ。」と言うだけあって、見た目もハーフ。かわいい。
学校はインターナショナルスクールなので終日英語、自宅でもほとんど英語、同居している母方のおばあちゃんとは日本語で話す生活だそうで、父親から日本人家庭に一人でステイして日本語で生活してこい、と言われて来たらしい。岡山でのステイの後は、クリケットチームの合宿があるそうな。さすがイギリス人の血を引くだけあるわね。クリケットでボールを投げる人のことを、「ボーラーって言うんだよ。」と言いながら、ボールを投げる”振り”を軽やかなステップで見せてくれた。

今日は、Sちゃんの甥っ子二人も合流して、大人三人ガキンチョ三人で海の方にある釣り堀に行くことに。以前も子ども達は会ったことはあるらしいが、一緒に遊ぶのは初めて。
最初の顔合わせのときは何となくぎこちなかったけど、車に乗って海へ行くまでの1時間の間、しりとりゲームやiPadのゲームなどしているうちに、すっかり打ち解けていた。しりとりゲームの罰ゲームがユニークで「自分の得意なの10個言うんじゃ!」と10才のかい君が仕切れば、ダニーは「元素記号でもいい?英語で」と言い、早口で元素記号を言っていたけど、おばちゃんはマンガンしか聞き取れませんでしたわい。かい君は「わしゃ、星座の一等星言うけん」と言って、おばちゃんたちが聞いたこともない星の名前を10個言っておった。すげーなー…。

3人のうち2人は泳げないため、終始波打ち際の
生物捕獲にいそしんでいた。
そんなことをしながら、11時前に釣り堀に着いたら、閉まってる。定休日?と思ったら、「釣りするなら朝6時から8時半までじゃ〜、奥さん。」と、近くにいたおっちゃんに言われ、思い切り空振り。
「そんなら、そばに海水浴場あるから、そこで弁当食べて、向こうにある犬島に渡ってみるかー」なんて悠長なこと言ってたものの、海水浴場に着いたら、ガキンチョ3人組は衣服のまま海に突進し、結局海から子ども達が動こうとせず、ほとんどの時間を砂浜で過ごすことになった。
大人3人は、あずま屋のような屋根の下で、だいたいは日陰にいたというものの、子ども達の海水パンツや生物捕獲用の網を急遽町まで買いに行ったり、子ども達を監視しながら時々砂浜に出ては声かけたり、最初に濡れて砂だらけになった3人の衣服を水洗いしに行ったりしてるうちに、私たち大人はアッチッチな太陽にやられてバテバテ。
「親って大変だね〜。」と、子どものいない私達おじちゃん、おばちゃんは暑さで思考力が消えそうになりながら、いつまでたっても戻ってこない子ども達を遠くに見ておりました。

23 7月, 2012

ふく天うどん

週末、また唐津の実家にいたが、今朝唐津を出て、青春18切符で帰京の旅。今日は岡山の友人宅に泊まるので、唐津から岡山まで乗り換え4回、約11時間の旅。

今日のお楽しみは、山口県下関駅の構内のうどん屋さんで「ふく(ふぐ)天うどん」食べること。
おなかもすいた昼過ぎに下関駅で途中下車して改札を出たら、すぐそばにあるはずのうどん屋さんがないやんかー!!
下関駅は改装中なのであった…。
下関駅の、あのチョットさびれた感じが旅人にとってはたまらんのにねー。どこもかしこも個性のない小綺麗な駅になっていくのねー。

もう私のからだは「ふく天うどん」を受け入れる体制にしかなっていないし、次の電車まで1時間ないのに、どうしてくれるんやー、と思いながら、駅前のショッピングモールに走った。うどん屋のひとつくらいはあるだろう、と探したら、あったー!
江戸屋というそば・うどん屋さんが、モールの4階レストラン街に。そしてそして、ふく天うどんもありました♥
フグの天ぷら二切れ(小さいフグ1匹分)にカボチャとサツマイモの天ぷらが一切れずつついて、700円。ふく天はさっぱりとした柔らかい白身の上品なお味で美味しかったわー。

19 7月, 2012

映画「ディルセ〜心から〜」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

インド映画といえば、”唐突に歌って踊ってハッピーエンド”のイメージが強くて苦手だった私のインド映画への固定観念を変えてくれた作品「ディルセ〜心から〜」のご紹介。
これも、インド映画の定石に従ってダンスシーンはあるのだけれど、どれもアーティスティックで美しい。日本で公開されるインド映画は、最近公開された「ロボット」のようなコメディ路線がメインだが、インド映画でも少数派のシリアスなテーマの本作は、インド本国でヒットした作品。(インド旅行で出会ったインド人ガイドの男性は3回も見に行った、と言っていた。

さて、映画のあらすじ。
4年前のムンバイでの同時多発テロ事件で日本人が犠牲になったのは記憶に新しいが、インドといえば宗教間または民族間の争いからテロリズムが多い国。
これはそのテロリズムを軸に、決して結ばれることのない恋に身を焦がす男女の物語。男はジャーナリスト、女は貧しい村のテロリスト集団の一員。男は駅でほんの束の間、言葉をかわした女に一目惚れする。女がテロリストとは知らずに追いかける男。恋することなど許されないのに男に魅かれていく女。そして女には国家の式典でのテロ決行の日が近づいていた…。
男の一途な恋心も、インドの抱える大きな闇に飲み込まれていくのか。男は、女を追えば逃げられるという連続の中で親の決めたお見合い相手と婚約させられることになり、一方女はひょんなことからその婚約者の家に下宿することになる。そして男はラジオの取材をする中で、女がテロリストだということを知る日が来てしまう。真実を知った男、そして女の葛藤も相まってこれも後半ハラハラドキドキな展開になる。現実では結ばれることのない主人公の二人も、ダンスシーンの中では愛し合う二人として描かれるのだけれど、その対比がまた切なさを募らせるのです。

以前はインド映画の唐突なダンスシーンに馴染めなかったのに、この作品を見てからというもの、ダンスシーンが楽しみにになってしまったオーバリー。
特に、この映画のダンスシーンは、列車の上、砂漠、遺跡、寺院、戦場、象の大群、水の中、と背景に凝っていて、従来のインド映画にしては前衛的でヴィジュアル的にも美しいシーンになっている。
中でも、列車の屋根の上で大勢で踊るシーンが有名(日本では有名じゃないけど…)で、同じく列車の上でのダンスシーンで有名になった映画に、デンマーク映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(カンヌ国際映画祭受賞作品)があるが、「ディルセ」の2年後の作品なので、もしかしたら「ダンサー〜」の方が「ディルセ」の列車シーンににヒントを得たのではないかと勘ぐっている私。

その他のダンスシーンはこちら…
http://www.youtube.com/watch?v=14m00xcuIjo&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=YwfCMvo19s8&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=jwoSBP_GiuQ&feature=related

字幕なしのヒンディー語のみだけれど、YOUTUBEで2時間半の本作を見ることはできますが、言葉もわからんのに、そんな悠長なことする人はひとりもいないと思うので、最初と最後だけ…見ておくんなさい。言葉はわからなくても、なんとなくわかります。
ふたりの出会い、最初のパート(雨の駅舎で運命の出会い)
http://www.youtube.com/watch?v=ZSQ8lg88n7E&feature=relmfu
悲しみのふたり、最後のパート(真実を知った男が女を止めに行くのですが…)
http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=I7SKE5hXCtQ&feature=endscreen

2000年に日本での公開はされてはいるものの、残念ながら日本語字幕のDVDは発売されていません。英語字幕のDVDは下記サイトで購入できます。
http://www.tirakita.com/Dil+Se…/DVD-110
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ちなみに主演の男優シャー・ルク・カーンはイスラム教徒ですが、ヒンズー教徒の女性と結婚しています。インドのテロの原因のひとつであるイスラム教とヒンズー教の対立問題を抱えるインドでの、異なる宗教間やカースト間で結婚することのめずらしい環境の中で、私生活でも”壁”を越えるシャー・ルク・カーンはインド国民の尊敬を集めるスーパースター。
最初に彼を見た時、「濃いな〜、この人。どこがいいん?」と思ったけれど、彼の作品を何本か見てるうちに、その濃さ(アツい男とも言える…)ゆえに好きになってしまった、”イヤよイヤよも好きのうち”的な(?)ハマリ方をしたオーバリーでございます。
クサヤの臭いがキライだった人が、いつの間にかクサヤが好きになってしまった、みたいな…、感じ?

17 7月, 2012

豪雨の中で考えた

九州が集中豪雨に襲われていた頃、用があって佐賀県の実家に居た。
5月から人に貸している父の実家は川のすぐそばにあり、100年の間に数回床上浸水している。山から流れてくる川が平地の流れに変わるあたりに位置して、しかも少し窪んだ地形にあることから川が溢れ出しやすい地形に家が建ってるらしい。数度の床上浸水のせいで家が浮き上がるのか、柱がずれて斜めになっているが、まだしっかり建っている。
今までの床上浸水は台風の直撃時の大雨によるものだったそうで、父は「こんな集中豪雨は初めてだ」と言った。
たまたま、その家に父と行った時、集中豪雨が始まった。突然バケツをひっくり返したような雨、というか滝みたいな雨で、慌てて車に乗り込んで自宅に帰ろうとしたものの、真っ昼間にも関わらず、雨のカーテンで前も後ろも見えず、特に後ろはワイパーがないから後続車が数メーターの距離に近づいて初めて突然ライト(をつけていれば)が見える、という状態で、とても怖くなり、数百メーター走ったところに公園があったので、しばらくそこで待避していた。

運転していたのは私だったので、とにかく視界が悪いうちは運転したくなかった。しかし、父は「大丈夫さい!オレが運転する。代われ。」と言い、私は視界が良くなるまでじっとしていた方がいい、と言い、しばらく押し問答になった。
思うに、恐怖の物差しは個人差があるらしい(性差かもしれない)。もとから私の運転には信用がない父なので、ベテランのつもりの父は運転できると思ったのか、私がただの臆病者だと思って、そんな私に、父としてか男としてかいいとこ見せたかったのか知らないが、あの強情さにはあきれる。
ほんの数十分待避して話しでもしてればいいものを。道路の中央ラインさえ見えないというのに。自分が正しく運転しても、他の車が突っ込んでくることもあり得るというのに。
結局、父お得意のいまいましい怒鳴り声にも負けず、私は運転席を譲らなかった。

災害時のニュースを見ていて、雨風のいちばんひどい時に屋根に上ったり、川の様子を見に行ったりして亡くなる人のことを聞くことがあると、「なんでまた、そんな状況の時に外の様子を見に行ったりするのかしら〜?」と不思議でならなかったが、父はまさにそのタイプだったんだわ。

この世の中、なんだかんだ言ってもまだ男社会。男性諸氏からの反発を承知であえて言わせてもらえば、原発があれだけ危険だとわかっていても、まだ稼動し続けたがるのは、この「男性」特有の妙な「大丈夫だ」「じっとしているより前に進むべきだ」という根拠のない自信がなせるワザ(?)じゃないかと父の言動に触れて思った。(全ての男性がそうだと言ってるわけじゃございません。稼動賛成派の男性諸氏のことで〜す。女性も少数居るみたいだけど、男性に多いと思う。悪しからず…。)

自ら原子炉の中に入って確認したわけでもないくせに、「安全を確認した」というなんら根拠のない、説得力もない言葉を連発する政治家と父は同類なんだわ〜。
視界の悪い中で運転して、もしかしたら無事に帰れるかもしれないし、もしかしたら事故に遭うかもしれない、という五分五分の状況で、国民全員を乗せた車を見切り発車させようとするのは、正しいのか?事故に遭った場合の責任のツケは結局国民への増税という形でしかとれないくせに。それでも正しいとすれば、その根拠は?誰かちゃんと納得させてくれー。ホントに必要なものなら、私だって納得したい。
精密な計算と細心の注意を払って行なわれる宇宙ロケットの打ち上げだって何回も失敗してるのに、原発だけ「安全です」って言える妙な自信って、一体ナニ?
レバ刺しはすぐ禁止するのに、原発は禁止しないのね。レバ刺しより危険なのに。
まだくすぶってる原子炉があるのに。理解不能…。父よ、あなたも理解不能…。

14 7月, 2012

夏空

数日前に、登戸駅近くの多摩川を夕刻に歩いたときの空。いろんな形の雲が浮かんでる。

イルカが群れを成してジャンプしてるように見える空があった。特に写真右下には子イルカが2頭並んでジャンプしてるみたいな雲が…。

他にも鳥に見えるのや、人が手を広げて飛んでるようなのもあった。
空はいつでもそこにあるのに、空を見上げることはとても少ない。
広い空を見上げて、しばし深呼吸して、「ま、どうにかなるさ。」と、つぶやいてみよう。

それにしても、私たちは何故、雲に既存の形を求めるのかしら?

12 7月, 2012

映画「キック・アス」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

先週末の昼下がり、出かけたいけど仕事しなくちゃいけないモードだった。単純な手仕事作業だったので映画専門チャンネル見ながら作業開始。するとコミックヒーローみたいな映画が始まった。好みの映画じゃないけど、他にこれといったのやってないから、ま、いいか、的な感じで仕事しながら見てたら、いや〜なんとも面白くって結局仕事にならず、マジ見してしまった映画「キック・アス」。
コミックヒーローといっても、等身大のフツーのちょっとオタクな人間がコスプレしてマスクかぶって悪い奴らをこらしめようと奮闘する物語。

コミックヒーローになろうとガンバル主人公の高校生に、武器オタクの風変わりな父娘が加わって、街のマフィアをやっつけていくのだが、その父娘がハンパじゃない。父親を演じるニコラス・ケージのブッ飛び加減が絶妙。でもただのコミックアクションじゃなくて、さえないオタクの切ない恋心やくすぶってる日常、また父親が娘を想う気持ちなどが散りばめられていて、いつの間にか主人公達を応援している私がいた。

今、いじめにあった中学生の自殺が問題になっているが、複数の専門家が「逃げないで闘ってほしい」と言っていた。私もそう思う。それはいじめられてる本人だけではなく、いじめに気づいた同級生でも先生でも親でもだ。
私が小学生とか中学生のころは、いじめ(今ほど陰湿ではなかったけど)たり喧嘩してる子がいたら「やめなさいよ!」と止める子がいた。今は見て見ぬふりが多いみたいだ。
私も一度だけいじめられたことがある。小学校5年生の春に転校してすぐのことだった。下校直前に靴を隠されて、でも隠した子(女の子・今も名前は憶えてる…)に泣いて訴えたか、泣きながら上履きで帰ったか、そこら辺の記憶があやふやだけど、単独犯だったし、当時は単純だったんだろう、その後はいじめられなかった。
いじめられらたら、泣いて騒いで周りを巻き込んで闘ってほしい。

痛快、爆笑、オタク万歳!(?)な会心作「キック・アス」。コミカルなタッチの中でも闘う勇気をくれる。楽しいよ〜。
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武器オタクの娘を演じるクロエ・モレッツのアクションは見事。特にバタフライナイフの手さばきにはホレボレ…。

10 7月, 2012

健康診断&ホメオパシー

国立市では40才を過ぎると、誕生日月までの3ヶ月間に無料の健康診断が受けられるのだが、まだ、それを利用したことがなかった。
誕生日が2月の私は、当然、今年の無料診断を受けられる時期を過ぎてしまったわけだが、必要があって、自費で健康診断を受けに行った。そして今さらですが、初めて知った。健康診断って、高い(・o・;)ってことを…。

検査項目は、血圧、尿検査、身長&体重測定、視力検査、心電図、胸部レントゲン、医師の問診(喉や目を見る、リンパや腹部の触診、心臓と肺の聴診)、血液検査の8種類で8900円。所要時間約1時間10分。
いくつかの病院に電話して聞いてみたが、どこもだいたい9000円くらい。
血液検査が高いのだそうで、それがなければ5000円くらい。でも、数値として体の状態を意識することのできる検査として、血液検査は必要だと思ったので、それははずせなかった。来年からは、絶対無料診断に行きます!市の無料診断が、こんなにお得なサービスだとは知らなかったわ〜。

illustrated  by  obarie
で、なぜ自費負担でも健康診断に行ったかとゆーと、明日から約半年間、ホメオパシーという、ドイツで生まれイギリスで発達した同種療法と呼ばれる代替療法をモニターとして受けることになったので、ビフォー&アフターでどれだけ体が変化するかを認識するために行った。

イギリス王室にも専任のホメオパス(ホメオパシーを施す人)がおり、エリザベス女王が健康で長生きなのは、ホメオパシーのためだとも言われている。

日本では、こういう療法は医学界または製薬会社からの攻撃の的になりやすいので、ホメオパシーで事故、なんて報道もされたことがあったが、基本的にはホメオパシーは副作用がない療法だ。(事故として報道される場合、被害者は幼児なので、幼児の緊急な病気のときは医者にかかるのが妥当。

インフルエンザに罹った友人が病院でタミフルを処方され、副作用が強すぎてもっとひどい症状で苦しんだことがあったが、翌年またインフルエンザにかかった時は自分で本を見ながらホメオパシーを実践して治した経験も私は間近に見ているので、科学的に実証されてなくても、効果は信じている。

私もキットを持っているので、たまに自分で本を見ながら実践する。効果を感じたこともあるし、なかったこともある。ホメオパスになるためには膨大な勉強を必要とするだけあって、勉強をしてない人間が症状に合ったレメディ(エネルギーが含まれた砂糖玉→ここだけ読むとチョー怪しいけどを選ぶのは難しい。ただ、見当違いなレメディを摂っても、作用しないだけの話しで(だから元々の病状は変わらない、そのための悪化はあり得る)、ホメオパシーが直接病気や体調悪化の原因になることはない。
そしてレメディは薬ではない。人の治ろうとする力を引き出すために、眠っている治癒力に揺さぶりをかけるような働きをするものだ。なので、治癒力を発動できなかった場合は病院に行った方がいい場合もある。ま、自己責任に於いて行なう療法と言える。でも、病院で死んでも、医療ミスを実証できない限りは医者も責任はとらないわけだから、同じなんである。ただ、最近は、ホメオパシーの利点を理解した医師もちらほら増えてきて、バランスよく併用している医師もいる。調べてみたら、私の実家がある唐津にもホメオパシーを取り入れている病院があったのは嬉しかった。

とにかく明日からのモニター体験が楽しみだ。そして、誕生月に、今度は無料で受ける健康診断の数値がどれだけ変化するか、7ヶ月後も楽しみだ。

08 7月, 2012

大葉さん

大きい葉っぱは手のひらが隠れるサイズ。
実家の九州では「シソ」と呼んでいたので、東京に出てきたら、誰もが「オオバくださ〜い。」とか「オオバって農薬たくさんかかってるのよね。」とか、自分の名前と同じ読みで言われると、ちょっとドキッとする。

一昨年、玄関前に苗を植えて、ことごとく虫に食われて私が食べることができなかった大葉は、去年に引き続き、今年も自主的に生えてきた。去年は1本(私の背より高くなった)だったけど、今年は4本かたまって生えている。ちょっと離れたところにも数本、まばらに生えている。
でも何故だか、カタマって生えてる方が数倍育ちがいい。不思議…。虫にもほとんど食われてない。去年、たくさん飛んだ種の中から強いものだけが発芽したのだろうから、もともと強いのかもしれない。

大葉でいつもつくるのは、相変わらず、大葉とナスとキュウリのオリーブオイルかけ。去年その記事を見て、つくって食べたという友人は「キュウリとナスの消費がハンパないんですけど…。」とメールをくれた。

それにしても、どういわけか自転車置き場の内側に生えてしまった。年を追うごとに、自転車置き場の中が大葉に侵略されていくのだろうか。

05 7月, 2012

キリストに似た人

先日、仕事で知り合ったUさんと初めてお会いしてお話する機会があった。長い髪を後ろに束ねていらっしゃる男性だ。そのUさんの知り合いの岩崎雅氏の個展で、キリストに似た人の写真の展示があり、Uさんは写真を撮られて展示されたそうだ。
「早い話しがロンゲの男性であればキリストに似てる、ってことで撮られるんでしょうね。」とUさん。
個展会期中も自称であれ、紹介であれ、キリストに似た人の写真は撮り続けられ、集まった”キリスト”たちの写真の中から、来場者の投票により、もっともキリストに似てると思われる12人(12使徒にちなんで)が選出される、というプロセスを経て、Uさんはその12人の中に残ったそうだ。
会場となったギャラリーのブログを見ていると、その個展の様子が写真で見れるが、壁にかけられたキリストたちの写真のなかにUさんらしき写真が見えた。
http://stepsgallery.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-2172.html

この”キリスト”集めは今後も続けられ、日本人の想い描く「キリストに似た人」の精度を上げていくのだそうだ。

私のイメージだけで描いてみたけど難しい…。
似てない気がする…。生まれた場所からして白人
ではなく、褐色の肌をしたパレスチナ人だった
とも言われている。ちなみにユダヤ人という
のは民族名ではない。
考えてみれば、キリストを見た人なんて2000年前に実際にキリストを見た人以外にないわけで、当たり前だが写真も残ってないし、2000年前に描かれたキリストの絵だって、本人を目の前に描いたという確証のある絵なぞ残ってない。だから本来なら「キリストに似た人いませんか?」って聞かれても、「わかりませんよー、そんなのー。」って言うはずなのに、聞かれた人は皆、一様に思い浮かべようとするらしい。
現在世界中にあるキリストの像なり絵なりは、私たちが追い求めるキリストのイメージに過ぎない。
しかし、イメージとは目に見えないようでいて、誰も見たことがない人(あるいは物)であってもそうやって確実に人々の中に出来上がっていく不思議な存在だ。ある意味、コワい。

その個展は先月で終わったらしいが、見たかったなー。


Uさんは私の目から見て、キリストには似てないと思う(根拠は皆無だけど…)。でも、話しをする静かな物腰とか目そのものが、もしかしたら似てる…カナ(というのも根拠がないね…)?

01 7月, 2012

映画「筆子・その愛〜天使のピアノ〜」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

映画の記事に関しては、見たものについて書くのが基本(当たり前)だけど、ちょっと掟破りをして、まだ見たことのない映画についてのご紹介。

なぜかというと、このタイトルにある”天使のピアノ”を実際見てきたからだ。
国立市に日本で初めての知的障害者のための学校・滝乃川学園がある。その広い敷地内にある小さな礼拝堂で行なわれたハープのコンサートに行ってきた。
その礼拝堂に置いてあったのが天使のピアノと呼ばれる、明治時代(1885年製)のドイツ製のピアノで、日本に現存する最古のアップライトピアノ。


明治時代、横浜の居留地にあったドーリング(J.G.Doering)商会というドイツのピアノメーカーが、ドイツから運んで来た部品を横浜で組み立てて作ったというピアノにはふたつの燭台がしつらえられてあり、電気のなかった時代の工夫だろうけど、それがステキなデザインになっている。
その燭台の間に、天使が二人の赤子を両肩に抱いて飛んでいる、というとても美しい絵がある。近くで目を凝らして見てみたけれど、これが絵なのか彫ったものなのかよくわからなかったが、ガラスの裏側から描くガラス絵かもしれない…。

2年程前には、美智子妃が学園を訪ねられて、ピアノを弾かれたそうだ。
ハープの演奏の前に、ピアノがどんな音がするのかを聞かせてくれたが、130年も前のピアノなので、今のピアノの音とは響きが違うが、とても優しい音がした。

この天使のピアノを所有する現在の滝乃川学園は、石井亮一とその妻・筆子によって国立に設立された。石井亮一は祖父が鍋島藩の家老だったという佐賀藩士の家に生まれ、立教大を経てアメリカ留学で障害者教育を学んだ。筆子は大村藩(現在の長崎県)の藩士(後に男爵)の家に生まれ、海外留学を経て3カ国語を操り「鹿鳴館の華」と言われる存在だったという。筆子自身、最初の結婚で3人の子どもを持ったが、二人が障害児、もう一人は病気で幼くして亡くなり、夫も30代で亡くなった後、嫁ぎ先から離縁された。障害者の娘を抱えて、一人で途方に暮れた筆子は娘を託すべく訪ねた滝乃川学園(当時は北区)で園長をしていた石井亮一と出会い、再婚。筆子が82歳で世を去るまでの約40年間、亮一と共にイバラの道のような試練を乗り越えて、知的障害者教育の礎を築いた。

学園の運営などで何度も辛酸を舐め、どんなに貧しくても、筆子は最初の結婚で嫁入り道具として持たされたこのピアノだけは手放さなかったという。

映画「筆子・その愛〜天使のピアノ〜」は、筆子の波乱の生涯を忠実に描いているようだ。主演は常磐貴子と市川笑也。2007年の制作だが、今でも全国のどこかで自主上映的に上映されているらしい。(気づいたのが遅かったので見れないが、先月は中野の映画館で上映されていた。
残念ながらDVDにはなってないようだ。映画の予告編は下記公式サイトで見れる。
http://www.gendaipro.com/fudeko/index1.html
なぜDVDにならないのか知らないけど、記録という意味でDVDになることを望みます。

NHK「その時歴史は動いた」でも石井筆子の一生が見れます。
YouTube画像なので4回にわたってます
part1: http://www.youtube.com/watch?v=ygOcEtmTLxY&feature=relmfu
part2: http://www.youtube.com/watch?v=b_bQnGCVEzE&feature=relmfu
part3: http://www.youtube.com/watch?v=Gd1Zpa9FGS0&feature=related
part4: http://www.youtube.com/watch?v=D4xamQ8j5gU&feature=relmfu
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追記:上映予定
2013年8月23日(金)19:00〜  
東京・なかのZERO にて  当日券のみ/一人1000円
詳細:http://www.gendaipro.com/fudeko/schedule.html