09 7月, 2013

何のための書類なのか

各電力会社が、原発再稼働のための申請書類を提出するニュース映像の、分厚い書類の束を見て、ふと昔々のことを思い出した。
原発の申請書類ほど分厚くはないけど、そうさなあ厚さ1センチ以上あったかなあ、かつての夫と国際結婚して夫を日本に連れてくるとき、入国管理局に提出した書類のことを。

国際結婚と言うてもいろいろで、相手が欧米人の場合と東南アジア人の場合では日本で同居する場合、ビザ申請に於ける難易度が違う。ま、早い話が東南アジア人だと偽装結婚で入国して不法就労するケースがあるからなんですが、「偽装じゃなくてマジな結婚です」っていうのを証明しないといけない。
出会いから結婚までのプロセス(なんか書いててコッ恥ずかしくなる。三文恋愛小説のあらすじ書いてるみたいな。)とか、なぜ結婚して日本に住まなくてはいけないのかという理由書(あたしが日本人なんだから住んでもいいだろ?!と言いたくなるよ、全く。相手が東南アジア人だと、”愛し合ってる”ってだけじゃ理由にならないのだ)とか、ツーショットの写真3枚とか、証明してくれる第三者が書いた”偽装じゃない”という証言とか、私の在職証明書(フリーだと信用してくれない…)、所属する会社の登記書、住む家の間取りまで(同居を始めた後で、夫婦を同時に呼び出して別々に面接し、ホントに一緒に住んでるかどうかを確認するために使うようだ。私たちは、面接まではなかった。)いろいろ。

最初のビザ申請の時は、”ビザ取得ができる書類申請”の知識はなかったので、ビザ取得ならず(日本とネパールで一年間別居)。二年目は専門家に相談してアドバイスを受けながら書類作成し、やっとビザ取得した。

で、こんな個人的なことをつらつら書いて何を言いたかったのかというと、そのアドバイスをあおいだビザ申請の専門家Uさんがおっしゃったこと。
「長年この仕事していて思うんですが、この分厚い書類は本当の結婚をする人のための書類じゃないんですよ。この書類はお役人のための書類なんです。例えば、ビザを持ってる外国人がトラブルを起こしたり、偽装だったことがバレたりしたとするでしょ?当然、役人に対して非難がいくわけです。なんで、こんな外国人にビザを与えたのか、と。その時、この書類の束を見せて役人は言うんですよ。”ほら、どこにこの書類を疑う余地があるんですか?これだけの書類が揃っていればビザを出さないワケにはいかないでしょう。”という言い訳につかう書類ですよ。彼ら(役人)は責任をとりたくないんです。
どんなに書類のハードルを高くしても、書類で偽装を見破ることは実際できていない。主に偽装結婚で外国人を入国させているのは暴力団であり、暴力団は隠れみのの会社をいくつも持っていて、書類作りはなんてことない。(原子炉での労働者集めに暴力団が深く関わっていることも忘れてはならない。)
偽装じゃないとしても、後々犯罪を犯さない確証はないわけで、役人もそこはわかっているはずだ。

原発再稼働の申請書類の束を見て、その束が、ビザ取得のための申請書類と同じ性質のものでなければいいが、としみじみと思った。Uさんの言葉の、外国人を原発に、ビザを再稼働許可に置き換えて読めるような気がするのだ。
本当に”事故を起こさない”ための書類になっているのかどうか…。
”事故を起こさない”証明なんて不可能なのだ。