17 8月, 2012

堆朱(ついしゅ)

聖蹟桜ヶ丘アートマンでのアクセサリー実演販売のとき、「これで何か作れますか?」と持ち込まれたのが、中国の工芸品”堆朱(ついしゅ)”の玉。ご自分で仕立てられたとおっしゃる、ステキなお洋服を召されたご夫人です。
雑貨屋さんで300円くらいのニセモノ堆朱は見たことありましたが、ホンモノは初めて見ました。堆朱とは漆の工芸品で、この玉は全て漆でできているのだそうです。ちなみに漆を100回塗り重ねても厚さ3ミリ〜5ミリにしかならないそうで、じゃあこの17ミリほどの玉が一体何回塗り重ねられたものか計算してみましょう…。
というわけで、漆を何百回も塗り重ねて、その層から切り出された玉。表面には花(蓮かな?)と雲が深く彫り込まれています。これは、アンティークの堆朱らしく、今ではなかなか手に入りにくいのだとか…。深い朱色がまことに美しい。(私も欲しい……)


この堆朱に合う石といったら、私の手持ちの石の中ではブラックオニキス(黒瑪瑙)しかございません。なるべくシンプルにしたいというご希望に添って、大きさの違うオニキスだけで組みました。そして、堆朱の玉が鎖骨のあたりにくる長さのチョーカーに仕立ててみました。
お客様がお召しになっているお洋服が、白地に黒の抽象的な模様の生地だったので、この黒と赤のチョーカーがぴったり合って、とても喜んでいただきました。
私も、美しいホンモノの堆朱の玉に触れることができて幸せでした。

「もう一つ、アクセサリーにしたいものがあるのよ。」とおっしゃって、次回の販売予定を、差し上げた名刺に書き込んで帰られました。
さて、次はどんなステキな品を持ち込まれるのでしょうか。楽しみです。
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堆朱は日本の漆工芸にもあります。日本のは色の違う漆を塗り重ねて、色の層を見せるものが多いようです。