16 10月, 2014

映画「こころの湯」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

19年前に初放映されたNHKドラマ「大地の子」で、主人公である中国残留孤児・陸一心(演じるは上川隆也)の育ての親を演じた中国の名優・朱旭(チュウ・シュイ)が大好きだ。
ツタヤでDVDを物色していたら、ふと目に入った中国映画「こころの湯」。朱旭が出てると知って、早速借りた。

これは、北京の下町にある銭湯が舞台。
知的障害者の息子とその父親(朱旭)がふたりで銭湯を切り盛りしている。そこにやってくる個性的な町の住人たち。彼らが織りなす人情あふれる日々を描いた作品だ。
涙あり、笑いあり。朱旭は「大地の子」の時と同じく慈愛あふれる父親を演じている。
台詞が無くても、そこに座っているだけで、画面から情感が漂ってくる。
日本の俳優でいえば、そうさなあ、若い方はご存じないと思いますが、今は亡き加藤嘉かなあ。お顔もソックリです。

中国というと、政治的な報道が先にたったり、中国人観光客などのマナーをやりだまにあげたり、で、もともと持っている文化の高さなどが語られることがなく、残念な昨今。
中国人のマナーの悪さを言うのなら、かつて日本の農協のツアー客も海外でマナーの悪さをふりまいていた時代があったという記憶が頭をよぎる。

とにかく、中国人への親しみがわく映画だ。こんな銭湯があるのなら、中国に行ったらぜひ銭湯へ行ってみたい。

日本の銭湯とは、また少し違う銭湯文化がおもしろい。
垢擦りがあったり、マッサージ師が常駐したり、客同士でコオロギを闘わせたり。

ただし、この映画に出てくる銭湯は男湯専用で建物内に女湯はない。中国では男湯と女湯は別々の場所にあるのかな?
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予告編は見つけきれなかったが、Youtubeで映画の一部が見れる。
https://www.youtube.com/watch?v=WLKbIWhbCJw&list=PLE13BB2FD456F7311
(音声は中国語で、中国語の発音字幕と英語の字幕がついたもの。中国語の勉強用になっている。こま切れだが自動的に次々に見れる。)
疎遠にしていたエリートサラリーマンの長男が、父親が危篤だと勘違いして帰ってくるところから映画が始まる。