14 10月, 2012

映画「リトル・ミス・サンシャイン」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

これは、笑って泣けるぶっ飛びロードムービー。
登場するのは、老人ホームを追い出された問題児のおじいちゃん、関係がギクシャクしている夫婦、ニーチェの影響で9ヶ月も口をきかない長男、美少女コンテストに出るために張り切っているちょっと太めな幼い妹オリーヴ、プルースト研究の第一人者である自殺未遂したゲイの伯父さん、と揃いも揃って個性ありすぎな、そして決して仲がいいわけではない家族がオリーヴの美少女コンテスト出場応援のために家族全員でポンコツ車に乗って遠出するハメになって…。


道中いろいろゴタゴタあって、極めつけはおじいちゃんがヘロイン吸いすぎて死んじゃったりしながらも、バラバラだった家族がひとつになっていくお話。
コンテストに自信のないオリーヴにおじいちゃんは言う。「本当の負け犬とは、負けるのが怖くて挑戦しないやつのことだ」と。私はちょっぴり涙した。

アメリカ(だけじゃないけど)の家族が抱えるいろんなトラウマのエッセンスを凝縮して丸めたようでもあり、問題ありすぎのこの家族がいつの間にか愛おしくなってくる。
きっと、問題はあっていいのだと思う。問題から逃げたり問題ないフリせずに、問題に向き合うことの大切さをちょっと過激な方法で見せてくれる、毒舌ながらもあったかい映画。