20 2月, 2015

彫金への道?

私は現在、隔月でアクセサリーの制作販売をしていますが、火を使うような彫金はやったことがなく、天然石のビーズや穴のあいてない原石を、ワイヤーなどで装飾したり、つないだりしたものを並べています。

昨年12月の販売のときに、年配の女性に声をかけられました。
えらくジーッと見てらっしゃるなー、と思っていたのですが、「これ、あなたが全部自分で作ったの?」と聞かれたので、そうですと答えました。
数年前まで彫金の先生をされていたというその女性 Iさんは、胸元に大振りの琥珀のかっこいい自作のペンダントをされていましたが、「もう80も目の前だし、目がだめになったから彫金を何年か前にやめちゃったのよ。」とおっしゃいました。
そして、ふとIさんが「バーナーとかいる?欲しいならあげるわよ。」と、思い出したようにおっしゃるではありませんか。

以前から、最低でも、アクセサリーを修理するのに必要な彫金の技法くらいは、例えばバーナーの火を使うロウ付けなどはマスターしておいた方が、制作販売の仕事にも幅が出るよな〜、と考えていたところでした。
ただ、ロウ付けだけを教えるようなところはなく、彫金を一から学ぶとなると、学校の講座代を始め、道具代、材料代など、今のアクセサリーの売り上げからは到底捻出できない金額がかかるため、半分あきらめてもいました。


道具の数々。右端に見えるのは、バーナーの火を
調節するためのふいご。使い込まれた道具を見ると
ワクワクする。
そんなこともあって、話し始めて10分もたつかたたないかで、初めて会った人に、前々から欲しいと思っていたものを「あげるわよ」と言われたのには、びっくりしました。

私は、ずうずうしくも「はい、欲しいです。ありがとうございます!」と、ありがたくそのお申し出を受けることにしました。
そして、2ヶ月たった今日、Iさんのおうちにお邪魔して、バーナーを始め、彫金に使う道具の数々を大きめの布の旅行バッグ一杯いただいてきました。
それでも、まだ全部ではなく、あまりに重くて、あと3分の1くらいの量の道具は後日またとりに行くことになりました。

お部屋にお邪魔してすぐ、Iさんは「私、なんであなたに声かけたのかしら?今でも不思議よ。私、そんな誰にでも声かけたりしないのよ。」と笑ってらして、「私も不思議ですよ。Iさん、魔がさしたんじゃないですか?」と半分冗談で返しました。

もうここまで来たら、彫金を始めないわけにはいかなくなりました。
彫金の講師をされてたIさんに「どこかで基礎から勉強した方がいいですよね?」と聞いたら、「学校は行かなくていいわよ。私も学校は行ってないのよ。本を見ながら始めてみたらいいわ。」と言われました。

Iさんの作品を見せていただいた。
いずれも個性的なリング。
私のアクセサリー自体が、そう細かい技法を要するタイプじゃないことも見てらっしゃるから言えることかもしれませんが、学校に行かなくてもいい、というお言葉に内心ホッとしました。
試行錯誤の連続になるかもしれませんが、まずは前々からやってみたかった金属の透かし模様のペンダントと基本的な技法のロウ付けに挑戦してみようかと思っています。

あとは、金属の板の中でも加工しやすいという銀板を買いにいくだけです。それと彫金の基礎の本!
そしてなにより部屋の片付け!!!
今はもの置きになっている机を彫金専用の作業机にできるように、4畳半の部屋の半分はまっさらにきれいに空けないといけません。

彫金への道は平坦ではありませんな〜。でも、楽しいでこぼこ道です。