10 2月, 2015

夏目漱石「文鳥」

仕事に追われて、ブログで告知しないまま終わってしまいましたが、イラストレーターや書家が集まった「私ノ漱石」展というグループ展に参加しました。アクセサリーの出店販売の仕事とグループ展の日程が重なったので、私自身が会場に行ったのは最終日の搬出の時だけでした。
その名も夏目坂という、漱石ゆかりの名前がついた坂の途中にあるギャラリー・ころころという小さなギャラリーが会場でした。

写真の作品は、私が出品した2点のうちの1点。
夏目漱石の短編集「文鳥・夢十夜」の中から、「文鳥」という作品を読んで描いたスクラッチボード作品です。

主人公の作家(たぶん夏目漱石自身?)の家に出入りする者が、ある日文鳥を持ってきます。最初は、言われたとおりに世話をする主人公でしたが、それがだんだんおろそかになり、世話は家人に引き継がれ、それもなんだかおろそかになり、ついには文鳥は死んでしまう、という切ないお話。

文鳥は女のイメージです。実際、主人公もかつて親しかったのであろう女のしぐさの記憶を文鳥に重ねます。
ということで、文鳥の羽に女の顔をあしらいました。
本の中で文鳥は死んでしまいますが、本当はカゴから逃げ出して、羽ばたいてほしかった、という私の願いを込めました。

普通だったら、いくら他人が勝手に持って来たとはいえ、一度飼い始めたものは最後まで責任持って飼いなよ!と言いたいくらいの内容の話ですが、こんな話をブンガクの領域に持ってくる夏目先生は流石(さすが)です。
短編集は面白いです。特に「夢十夜」は面白い。漱石が実際見た夢なのかどうかわからないけど、こわ〜いのやら不思議なのやら、映像が目に浮かぶような作品がいろいろあります。
長編小説は敷居が高い、と思ってる方には特におススメです。

ギャラリー・ころころでは、去年の「私ノ八雲」展、今回の「私ノ漱石」展に続き、文学シリーズで今年の秋は「私ノシェークスピア」を開催予定だそうで、私も参加します。シェークスピアの次は中原中也と続くそうです。次回は必ず、告知いたします。今回もそうでしたが、古本市も同時開催です。