17 1月, 2013

映画「リクルート」

〜今週の名画座・キネマ大羽〜

アメリカ・ラングレーにあるCIA本部のロビーの壁には、活動中何らかの理由で死亡したCIA工作員が、名前ではなく一個の無名の星として彫り込まれている。その工作員の活動が国に対して功績があったとしても名前は公表されることなく死んでいかねばならないという。(実名がわかって関係者に被害が及んではならないからでしょうね。)

そのCIAに毎年新人がリクルートされたり志願したりしてくるわけだが、その新人たちがどうのようにして工作員として教育されていくかが興味深い映画「リクルート」。

アル・パチーノ演じるCIA教官・バークがコリン・ファレル演じるコンピュータの天才・ジェームズに目をつけてリクルートする。頭はいいが、私生活では遅刻したり、その場しのぎのウソを言ったりと、一見工作員向きではないように思えるジェームズだったが、意外とそれが工作員としての素質なんではないかとにおわせるオープニング。
最初はバークの誘いを断っていたジェームズだが、亡くなった父親がCIA工作員だったことを知り、父親を知りたいという思いからリクルートに応じる。優秀な成績で訓練を終えたジェームズは、バークからある任務を命じられる。それが、バークが仕掛けたワナだとも知らずに…。

この映画はCIAスポークスマンの協力のもと作られていて、どのような訓練があるのか興味深い。映画の内容によると、工作員には二種類あって、外交官として公に活動(情報集めなど)する者と、身分を偽って一般企業に在籍しているかのように生活する者とがあり、前者は公務員なのでつかまっても国の交渉で引き渡してもらえるが、後者は敵方につかまったら拷問されて殺されることが多いという…。しかし、敵方の深いところまで入り込めるのは後者の方であり、優秀な人材ほど後者にあてがわれる。
よって、ウソを見抜かれないようにする訓練や拷問を受ける(耐える?)訓練もある。
年俸は教官のバークが7万ドルと言っていたから、実行部隊の工作員はもう少しいいとしても、命かかってる割には給料安いという印象。

ウソの身分で身を隠し、自分もウソをつきながら、相手のウソを見抜き、本当の情報を手に入れたり、工作したりする仕事…。目に見えるものは全て信じるな、友人さえも、と教え込まれる世界。じゃあ、なんでそんな割の合わない仕事に従事するのか、命までかけて、と思いながら見るわけですが、登場人物のセリフの中に「血筋だな」みたいなのがあるわけです。
私が思うに、工作員を突き動かすものは、愛国心とか理屈とかじゃなくて、生まれつきながれている血、つまり本能的な素養なんじゃないかと…。そして、その本能的な才能を見極めてリクルートする教官もスゴイね。
さて、皆さんはどう思われるか、見てみてね。
ツタヤにあります。
------------------------------------------------------------------------------
●動画は、日本語の予告編が見つけられなかったので、本国の予告編です。
●CIAの仕事内容と給料を調べてる京大生のブログがありました。参考までに…。→http://tatweb.blog15.fc2.com/blog-entry-54.html