22 3月, 2012

母とケンカ

私の母は、認知症が少し入っているけれど、他人と話をするときは妙にしっかり受け答えするので、家族の私たちも、一瞬回復したのかと思ってしまう。昨日のことを忘れていることもあれば、細かいところまで覚えていることもある。
ただ、妹がネットなどで調べてみると、母はやはり認知症の特徴を兼ね備えているらしい。いろんなことを面倒くさがる、怠惰になる、ボーっとテレビを見る、表情が乏しくなる、食い意地が張ってくる、直近の記憶に弱い、などの母の状態は認知症にみられるものらしい。それに婦人科系、泌尿器科系の問題と高血圧、脳梗塞、水頭症をかかえているので、厄介だ。歩くのもままならない。
そんな母の体の回復(または維持)のためを思って言う(注意)することが、母には気に入らないらしく、先週末は機嫌を損ねて、2日半も口をきかなかった。昔からそうだった。怒ると怒鳴ったり自分の気持ちを一切言わず、ただだまるのだ。私はケンカは言い合いするほうが好き(?)なので、だまられるのがいちばんこたえる。
知り合いにアルツハイマー症のご主人のお世話をされている人がいるけれど、お話をうかがったら「言うこときかなくて、主人を平手打ちしたこともあるのよ。」と、いつもほがらかで穏やかなお人柄からは想像もできない言葉が返ってきた。
母親を施設に入所させているという友人は「認知症になった今も、私の罪悪感を刺激する当てこすりをしてくるよ。」と言っていた。みんな何かしら抱えている。

ただだまりこくる母親に言いたいことはいっぱいあったけど、そんな母のそばにずっと居る父の方がもっとつらいのだと思いなおし、母のことはいったん頭のすみに追いやって父のサポートに徹するのだと自分に言い聞かせた。母がつらいのもわかっているのだが…。

子育てと違って、だんだん悪くなっていく、しかも何年続くか先の見えない介護というものを明るく切り抜ける方法はないものか。
紙パンツの中の自分の排泄物をわしづかみにしようとする母親(本人は片付けたい一心なのだ)を制しながら、その重くなった紙パンツを両手に抱えて、この状況をポジティブ思考に切り替えるにはどーすりゃいいの?と思ったものです。