13 4月, 2016

映画「ルーム」

〜今週のロードショウ〜

17歳で誘拐され、7年もの間せまい部屋に監禁され、その部屋で誘拐犯との間にできた子を産み育て、その子が5歳になったとき、母と子は…。
こんなあらすじを読むと、先日発覚した誘拐監禁事件を思い出さずにはいられないだろうが、これは犯罪をショッキングにえがいて怖がる映画ではない。

映画を見ながら私は泣いた。鼻水が出て、鼻が詰まるくらい泣いた。
なぜなら、被害者であるこの親子は、監禁されていた時よりも、助け出されて家に戻ってからの方が、何倍も苦しむからだ。
生まれた時から狭い部屋だけが”世界”の全てだった幼子と、広い世界から狭い部屋に閉じ込められ自由を奪われた若い母親は、監禁されていたときの方が、なぜかバランスがとれていたのだ。

世界とは何なのか?
部屋とは何なのか?
閉じ込められれば不幸で、広い世界に放たれれば幸せなのか?
彼らが恋いこがれたはずの外の世界は、ナゼ親子を苦しめるのか?

「ルーム」を見ていると、禅問答のような問いが頭の中を回り始めるのでした。

が、しかし、最後にはやはり「愛」が、解決への鍵であり、希望への道しるべなんだと感じて、うれし涙で画面が曇りましたです。

なぜかと申しますと、監禁された部屋では、母親は子供を必死に守り、そして救出後の広い世界では、今度は子供が壊れそうになる母親を助けようとするからです。(も〜、この子・ジャックが、めっちゃかわいいんですよ〜)

愛が世界を変えるのです。
いや、世界は変わらないのだろうけど、世界を見る眼鏡のレンズが変わる、と言えばわかりやすいでしょうか。

おススメの映画です。是非、あなたも禅問答してください。