19 8月, 2012

形見の数珠

聖蹟桜ヶ丘アートマンでたまたま、私の展示コーナーを通りがかった年配のお客様Aさんが「母の形見の数珠があるんだけど、それで家族にブレスレットとかできるかしら?」と尋ねられました。
その時、たまたま形見の数珠を持ち歩いておられたのか、すぐにバッグから取り出して、見せてくださいました。

最初、その透明さから水晶かと思ったのですが、後で拡大鏡で見たら、気泡が見えたので、ガラスでできた玉だとわかりました。よく見ると、全部形が微妙に違うので、昔の手づくりのガラス玉のようでした。鉄の芯にガラス棒を溶かして巻き付けていく、いわゆるトンボ玉です。とても透明で、軽くて、かわいらしい小さい玉が連なった数珠でした。
数珠は二つあったので、Aさんご自身と息子さんご夫婦、Aさんの妹さんご夫婦にそれぞれブレスレットをひとつずつ、1才半くらいのお孫さんにはアンクレットを注文されました。二つの数珠から6つのものが出来ました。

アンティークといえる条件のひとつは、50年以上たったものだそうで、しかもひとつひとつ手づくりの、この数珠のガラス玉は正真正銘のアンティークといえるでしょう。
透明感のある玉を見ていると、そこいらの水晶玉よりもキレイなのです。それを持っていた方、受け継がれた方の家族を想う気持ちの深さも手伝っていると思います。

ほがらかなご様子からは伺い知れなかった、通院しながら闘病生活をされているというAさんでしたが、私の父に腫瘍が見つかったことや再々検査の結果を聞くために帰省することを漏らしたら、逆に励ましてくださいました。

Aさんが無事に病を乗り越えられますよう、お母様の形見のブレスレットから石をはずした後の、捨てるつもりでいらした革ひもに、数珠の残りのガラス玉とグリーンガーネットという濃い抹茶飴みたいな色をした玉をプラスして今一度ブレスレットに仕立て、プレゼントしました。(写真撮り忘れたけど、我ながらオシャレな一品になりました。
そのブレスレットを見て、「私の誕生石はガーネットなのよ。嬉しいわ。でも、ガーネットにグリーンがあるなんて知らなかったわ。」と喜んでいただきました。
笑うと少女のように目がキラキラと輝くAさん、またアートマンでお会いしましょう。
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そうだ、父にもお守りブレスレット作ってみるかな…。