27 3月, 2012

線香

父は耳が悪くて、テレビの音は23~5くらいの大きさで聞いている。私は17くらいで聞いているので父の聴覚は相当悪いと思うのだが、そんな父は私よりも逆に嗅覚がいい。
家に仏壇が引っ越してきてから毎日一度は線香を焚くわけだが、父の実家から仏壇と一緒に持ってきた線香がとても臭く感じるらしく、「こりゃ、臭か~。俺は寝られん。」と、仏壇の部屋で寝ている父は文句タラタラ。

住職オススメ、京都の老舗の品。
美しいパッケージなのに、香りは
カレーのような…。
その後菩提寺の住職と話をしたとき、「臭いの少ない線香はないでしょうか?」と訊いたら、「それなら、これを試してみてください。ちょっとお高いですけど。」と言って、30数本しか入ってないのに1000円もする京都の老舗のものらしい、いかにも上等なパッケージの線香を薦められた。父はそれを買って帰宅後早速仏壇に線香を上げたら、「ええーっ!?これ、臭いじゃん。住職の鼻、どがんかしとらんとー?(どうにかなっているのではないか?)」という臭いだった。寺は広いから、広い面積に広がったときはいい香りなのかもしれないが…。箱には”白檀を贅沢に使用した、甘く涼やかな木の香り”とある。私がコピーを書くならば、”あなたをインドにいざなう、部屋でカレーを調理したような香辛料の香り”だろうか。臭覚に個人差があるとはいえ、少なくとも木の香りはしない。父は即座にその線香をしまいこみ、「なんか、良か線香はなかかな…。寝られんぞ、寝られん…。」とブツブツ。

翌日、福岡三越に勤める従姉妹の家に遊びに行ったら、たまたま「売り場に線香のサンプルが来たとやけど、試してみる?」と言って、数種類の線香を焚いてくれた。加賀(金沢)の線香だった。ほほ~、どれも上品でよい香り。”緑茶””ブルーローズ””シトラス&アイリス”など微煙香のものを選んで持ち帰り、父にも嗅がせてブルーローズに決定し、早速、従姉妹に取り寄せてもらった。
どれも仏壇という用途にこだわらず、どこでも使えそうなおだやかな香り。一件落着。
●香屋(金沢) http://www.ko-ya.net/