03 1月, 2014

カニ飯

味付けしたカニの甲羅をはがして、肺を
除去しているところ。肺に寄生虫がいることが

あるらしいが、加熱で死ぬので心配なし。
川に棲むカニのことをうちの実家のほうでは「つがに」と呼んでいる。本式名称は「モズクガニ」と言うらしい。
私が幼い頃から、今は亡き祖父の家で人が集まるような盆暮れ時には、そのつがにをご飯に炊き込んだ”カニめし”が供されていた。

カニ飯を作るのは叔母の役目で、その時だけは土間のかまどに火を焚いて、釜で炊いていた。祖父の家の目の前が川だが、川の中の岩の下などにカニはいたようで、父が割り箸にスルメを糸で縛り付け、それを岩の下に突っ込み、カニがそれをハサミで掴んだ瞬間に引いて獲っていたのを憶えている。父は全身水に浸かって獲っていたから、夏休みだったと思う。川で獲れない時は、近くのお店で買っていたみたいだ。

叔母が50で唐津を離れてからというもの、カニ飯は外食でしか食べられないメニューになった。でも、どこで食べても叔母の作ったカニ飯にまさるものはなかったように思う。
年末30日、妹と温泉に行った帰りに地元の農産物を売ってるところに寄ったら、そのカニが8匹1300円で売られていた。安いでないかい♪

よし今年の正月はカニ飯に挑戦だ。叔母にできるなら私にもできる。お店の人に作り方を聞いたが、念のため、叔母にも電話して作り方を聞いた。
お店の人と叔母とではちょっと手順が違っていたが、どうやってカニを殺すのかという、殺し方の違いであった。
お店の人が教えてくれたのは、鍋に水と生きたカニを入れて”茹で殺し”する方法で、叔母のは生きてるカニの心臓当たりに包丁を突き立てて”刺し殺す”方法であった。叔母は「あたしゃ、カニ殺しのおけい(恵子なので)って言われとったとよ。」と笑いながら言っていた。
当然、私は”茹で殺し”を選んだ。

<美味しいカニ飯の作り方>
1.カニがひたひたに浸かるくらいの水を入れ、茹でる。このとき、カニが脱走しないよう鍋のふたを押さえておくこと。鍋の中で、熱くて暴れ回るカニたちの音が聞こえなくなったらすぐ鍋を火から下ろす。
2.茹でた湯は捨てて、カニを鍋から出して、たわしで洗う。
3.鍋に新たにひたひたの水、酒、醤油、塩を適宜入れて、カニを入れる。沸騰してから20分くらい弱火で煮付ける。
4.カニの甲羅をはずす。はずしたら、肺をとる。本体を左右にまっぷたつに出刃包丁で切断する。甲羅はそのままに。(甲羅にも蟹味噌がついている。)
5.洗った米に、煮汁を米を炊く水分量入れる。このとき砂糖をちょっとだけ入れるのが美味しさのヒミツだと叔母は言った。
米の上にカニを乗せて、炊飯器のスイッチを入れる。

出来上がったカニ飯は大変、美味しゅうございました。体調が悪くて食欲がないと言っていた父も「カニ飯はまだあるか」と言ったくらいだ。
川のカニは、海のカニよりも味が濃く、蟹味噌も濃厚だ。川のカニを食べつけていたので、海のカニにはあまりそそられたことがない。モズクガニは日本全国に分布しているようなので、カニを売ってるのを見たら、一度お試しください。
値段は時期やカニの大きさによっても違うようだ。叔母が数年前に買ったときは10匹ほどで8000円くらいだったと言っていた。